おおもり整形外科スポーツクリニック
■応急処置を学ぼう■
スポーツ外傷について ・RICE処置について ・スポーツ活動現場に必要な備品について
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スポーツ活動現場での応急処置について 
                     〜病院に行く前にすること、備えておく物〜
ケガイラスト
スポーツ活動時にケガが生じた場合は、早期に信頼のおける医療機関で診察・治療を受けることが大切です。また、医療機関へ到着するまでに適切な応急処置が施せれば、症状の悪化を防ぎ、競技復帰を早めることができます。自己判断による処置だけで終わらせるとケガの後遺症につながることもあるので、ケガの程度を確認するためにも診察は重要です。
 応急処置の大切さを理解し実践することができても、実際のスポーツ活動現場に応急処置に必要な物品が揃ってないと意味がありません。また、日頃から慣れ親しんでいる練習場・試合会場よりも、遠征試合や合宿など、普段とは違う環境でのケガや病気への対応で困ることが多いと思います。
 更にスポーツ現場では、熱中症や頭部外傷、止血処置が必要となるような創傷を含めて、直接生命に係わるような事故やケガが発生し、そのための救急処置が必要になることもあります。
 このように広くスポーツ現場で起こる外傷や傷害に対し、今回はスポーツ現場で可能な応急処置(RICE処置)とそのために必要と思われる備品などについて説明します。

スポーツ外傷について

スポーツ活動で起こるケガには大きく二通りあります。
スポーツ外傷(急性スポーツ外傷)
骨折、脱臼、ねん挫、筋挫傷など突発的で大きな力が身体に加わって起こる。いわゆるケガ。
スポーツ傷害(慢性スポーツ外傷、オーバーユース症候群)
肉離れ、疲労骨折、骨端症(成長痛)など局所に小さな力(ストレス)が高い頻度で加わることで起こる。いわゆる使い過ぎ。

応急処置で何を優先するかは、ケガの状態で異なります。
応急処置イラスト ○意識障害や心肺機能の停止など、全身状態に係わる問題は救命救急(心肺脳蘇生)が最優先です。(※救命救急処置に関しまして今回は割愛します)
○傷口が開き、出血などを伴うケガ(開放性の外傷)応急処置としては、まず、傷口の洗浄と消毒、止血が優先されます。
○開放創がないケガ(非開放性の外傷)
骨折や脱臼であれば、まず痛みのないような姿勢をとらせ患部を保護・固定し、早く医療機関へ受診することが優先されます。骨折・脱臼に加えて開放創がある場合は、患部を保護した状態で可能な限りの止血・消毒を施し、動かないように固定します。
その他の軟部組織(筋肉や腱、靭帯などの組織)の損傷であれば、まずRICE処置が必要です。
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RICE処置について

身体の一部に損傷を受けた場合には、以下のような反応が起こります。
腫脹(しゅちょう):腫れのことです。腫れは損傷した組織の周囲にまで広がります。
発赤(ほっせき):強い外力による充血やケガ周辺の組織のうっ血など・
(ねっかん):皮膚に熱を帯びてきます。
疼痛(とうつう):損傷による直接的な痛みがあります。
機能障害:損傷を受けることで正常な動きや反応ができなくなります。

これらは、身体を元の状態に回復・修復するための正常な反応ですが、過剰な反応によりかえってマイナスになることもあるため、それらを最小限に食い止め回復を早める目的でRICE処置を行います。R.I.C.E(ライス)処置とは、以下のような処置の頭文字を組み合わせた造語です。

【Rest=安静】
損傷部位だけでなく、外傷直後は全身を安静にさせる必要があります。また、患部を保護することも大切です。


【Ice=冷却】
患部を局所的に冷やすことで、神経の興奮を抑え痛みを軽減します。また、損傷した細胞周囲にある正常な細胞を"一時的冬眠状態"にさせ、損傷を最小限に食い止めます。
RISE処置
ナイロン袋に氷を入れ、固定用のラップで圧迫・固定している
【Compression=圧迫】
外傷後の患部の腫れを最小限に抑えるために弾力包帯などで圧迫します。但し、強く巻き過ぎて神経・血管を圧迫しないよう皮膚の色や感覚などを確認してください。

【Elevation=挙上】
患部を心臓より高く挙げることで腫れを抑える効果があります。

以上の処置を同時に行います(右写真)。
RISE処置
足首のR.I.C.E処置(注:アイシングしたまま歩いたりしてはダメ)
ケガをして24〜72時間(1〜3日間)までは、RICE処置により痛みを軽減させたり、腫れの進行を食い止めることで回復を促します。冷却時の患部の皮膚の感じ方は時間の経過により変化します。
ジーンとする痛み→温かく感じる
→ぴりぴりとした刺激痛→感覚消失(感覚の麻痺)
感覚が消失した時点でアイシングは終了ですが、その状態にたどり着くまでにはおよそ15〜20分必要です。但し、冷却する部位ごとで反応が異なりますから15〜20分以内でも感覚が消失した時点で終了してください。
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スポーツ活動現場に必要な備品について

スポーツ活動現場でケガをした時、またはケガ人の手当てをするためには、適切な備品を用いて適切な処置ができなくてはなりません。スポーツ競技別で起こり易いケガは異なりますが、共通して応急処置に必要と思われる備品について紹介します。また、ケガを予防できればそれに越したことはないので、体調を把握したり管理するための備品についても少し触れておきます。

1.応急処置のための備品
外傷部に対して 氷、氷のう、コールドスプレー、タオル、水道水、消毒液、ガーゼ、絆創膏など
固定用備品 圧迫用パッド、テーピング用テープ、弾力包帯(バンテージ、固定用ラップ)、三角巾、添え木、など
その他 松葉杖、車椅子、はさみ、爪切り、ゴム手袋、ワセリン(靴擦れ防止用)など
その日の当番医とその連絡先などがわかるもの(当日の新聞、地方誌などから情報収集)

氷、氷のう、コールドスプレー、バンテージ、固定用ラップ 冷却の手段としてコールドスプレーがありますが、患部に持続的な冷却効果を得る程の期待はできません。スプレーを吹き続ければ別ですが、そうすれば間違いなく凍傷を起こします。ですから、氷がない場合は患部に湿らせたタオルを当て、その上からスプレーしてタオルを凍らすことで効果を出すことは可能です。また、足首の損傷でシューズがすぐに脱げない場合は、靴下を水で濡らしてその上からスプレーを吹きつけるという方法もあります。但し、損傷した部位の傷の有無の確認は必要です。
氷、氷のう、コールドスプレー
バンテージ、固定用ラップ
テーピング用品、圧迫用パッド、ゴム手袋 固定を目的としたテーピングや腫れの悪化を防ぐための圧迫用パッドの装着は、チームトレーナーをはじめとして一般の方でも知識・技術を持った方がいらっしゃれば有用です。

基本的にはRICE処置を施すようなケガが生じた場合は競技の続行は禁止です。応急処置を行った後は早く医療機関へ受診しなければなりません。また、ケガ人に安静を優先とする場合や脚のケガで下手に歩かないほうがよいこともあるので、松葉杖や車椅子が現場に備えてあれば役に立ちます。
テーピング用品、圧迫用パッド、ゴム手袋

遠征試合・合宿などでは、ケガや病気の場合に備えて現場周囲の当日の当番医や連絡先を知っておいたほうがよいでしょう。また、頭部の問題であれば脳神経外科、骨や関節の問題であれば整形外科、風邪であれば内科というようにそれぞれの専門医による診察が理想ですので、当日の当直・当番医が何科の医師であるかを事前に知っておくことも必要です。
救急箱イラスト
前述しましたように開放創があるケガの場合は、傷口の感染が最も危険であるために、消毒することが優先されます。泥や砂などが傷口に入り込んでいるような場合は、水道水で洗い落としておくだけでも効果はあります。
忘れがちですが、爪の管理はケガ予防や衛生的面で大切なので、爪切りは常備しておいたほうがよいでしょう。
患部に出血がある場合の処置では、肝炎など感染予防という面でゴム手袋を用いる必要があります。
また、試合中の出血は、たとえ擦り傷であってもルール上プレーが続行できない競技もあるために、消毒液や清潔なガーゼ、固定するためのバンテージ、包帯などを用いて止血しなくてはなりません。

2.体調の把握・管理のための備品
体調・発育を把握するもの 体温計、体重計(体脂肪計)、巻き尺(身長測定、四肢周径測定など)
体調を維持するもの ・水分摂取のための備品(給水タンク、飲料水、電解質を含んだジュースなど)
・防寒のための備品(ベンチコート、軍手、カイロなど)
・暑さ対策としての備品(水分摂取備品、着替え用の服など)
病気などに対して 体温計、氷のう、ゼリー用品、市販薬

体温計イラスト
身体の成長(発育・発達)の変化を把握する一つの指標として、定期的な身長の測定や、脚や腕回りの周径囲計測などがあります。男女差や個人差はありますが、平均的に小学生後半から中学生の時期は筋肉の発達よりも骨や神経の発育の方が活発です。骨の発育期(身長が急激に伸びるような時期)に局部に同じような負荷のかかるような練習を繰り返すと、いわゆる使い過ぎによるスポーツ傷害が起こります。骨の延びる場所(骨端線)は過度な物理的刺激による痛みが出やすいので、成長期の選手のケガの予防のためには、各々の選手の発育に見合った練習量や質を選択できれば理想的です。

体脂肪の測定は、体重の増減と体脂肪の変化との関連から、トレーニング内容や栄養面に関する指導や実践に役立ちます。(その具体的な考え方や実践方法は今回は割愛します)
水分摂取の管理に対しては、とかく夏季の熱中症対策に偏りがちですが、冬場にも同じような管理が必要です。

遠征先などで選手が下痢や発熱、食欲不振などある場合は、氷のう、ゼリー用品、市販薬などが役に立ちます。但し、薬に関してはドーピングコントロールという面から注意する必要があります。服用するにあたっては、必ず担当医師に指示を仰ぐようにしてください。
薬イラスト

以上、応急処置や必要備品について説明しましたが、ケガ直後の応急処置がうまくでき、痛みが一時的に軽減消失しても、ケガが治ったわけではありません。中には重要な問題が隠れていることもあります。冒頭でも述べましたように応急処置ができたなら、できるだけ早く(遅くても次の日には)病院で診察するように心がけてください。
なお、かかりつけの病院が休診の場合には、重篤な問題(生命に係わるようなケガや明らかな骨折・脱臼がみられる場合、又は、かかりつけとは異なる診療科領域でのケガなど)でない限りは応急処置を、特に圧迫・固定・保護を続けておき、どのようにケガをし、どのような処置を施したかを翌日主治医へ説明してください。
なお、ここで説明したことを含め、御不明なことがありましたらメールでお問い合わせください。

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